やきとりを味わうなら、タレ?塩?
やきとりを味わう際、多くの方から寄せられる疑問があります。それは、「タレと塩、どちらが良いのか?」。やきとりのタレは、しょうゆに砂糖やみりん、日本酒などを調合し、香味野菜や骨を加えて丁寧に煮込んだものです。ベースのタレには新しく作ったタレを継ぎ足し、店独自の味を守り続けています。
焼き上がった串をタレに浸して、継ぎ足しながら使い続けると、タレの味わいは徐々にまろやかに変化していきます。串の脂は、しょうゆのアミノ酸や肉のたんぱく質と混ざり合って「乳化」し、タレの酸化を防ぎ、腐りにくくもなります。一串一串の注文ごとに、タレはやきとり店の歴史を刻み込んでいると言っても過言ではありません。
しょうゆの主成分であるグルタミン酸は、糖分と一緒に加熱されると「メイラード反応」が起こります。この反応は、アミノ酸やたんぱく質が酵素に頼らずに糖と結合するもので、店の周りを通り過ぎると、香ばしい匂いが漂ってくるのもこのメイラード反応のおかげです。
さて、タレと塩、どちらがやきとりに合うか。この問いに対する唯一の答えは「食べる人の好み」です。もし肉の本来の旨味を感じたいならば「塩」を選ぶと良いでしょう。一方で、店の歴史や工夫を味わいたいのであれば、「タレ」がおすすめです。